エンクリ連携 ACパネル製作
今年度の自力建設の屋根や壁に使用するアカデミーパネル(通称:ACパネル)がまだ数十枚足りません。
ACパネルとは、スギやヒノキの板(厚30mm)を、幅450mm、長さ3~4Mに接着したパネルです。
単純に屋根に一枚一枚張ったものと、見た目は同等の仕上がりをしますが、板のままでは、地震などの大きな力が加わった際にずれて、力をうまく伝えることができません。ACパネルは、板材を接着して大きなパネルにすることで、屋根の水平構面や壁の耐力壁を構成し、板どおしのずれを防ぎ、力を伝えやすくします。
まずは、素材の板を準備します。板がほしいといっても、買ってくるわけではありません。演習林から切り出してきて乾燥している材から見繕います。
今回は、乾燥させていた梁材を35mmに板に製材していきます。
クリエーター科の学生が素材となる板の準備のために材を選んで学内の製材所にもっていきます。
吉野先生の元、早速製材が始まりました。
一方、別の学生は、幅を整えるために、製材から上がってきた板材の接着面にプレーナー(カンナ)を当てていきます。
地味な作業ですが、最終的な仕上がりと性能に大きく影響します。
午前中のうちに、クリエーター科の学生が板材の準備を整えてもらいました。
クリエーター科は午後からは別の授業があり、エンジニア科にバトンタッチです。
エンジニア科1年生の学生が、パネルの説明と作成手順を聞いたのち、板のクセを合わせて、どの材の組み合わせで接着する科を選別しました。
この仕分けが最も仕上がりに影響する作業です。板はまっすぐに見えても必ず反っています。この反りを合わせないと、でこぼこのパネルになって、表面を削ると薄くなってしまいます。
その材の組み合わせでどの面に接着剤を塗るかを意識して、イソシアネート系接着剤を塗布していきます。
この接着剤は水性で扱いやすく、乾くと水に対しても溶けることがありません。熱にも強く、火災時でも剥離が起こりにくい接着剤です。
接着材を塗布するグループから、プレスするグループへと材が手渡され、板の順番を慎重に確認しながら、積み上げていきます。
最終的に、7枚のACパネルが接着に回りました。
1日ほど乾燥させて、接着は終了です。後は、表面を削って綺麗にしてようやく完成です。
いろいろの人の手が加わって、建築部材の一つが出来上がっていきます。
最後は、プレスが始まったACパネル前で、エンジニア科の皆さんに記念撮影です。
また手伝ってくださいね。
准教授 辻 充孝